おっすおっす。
かーむです。
2020年6月1日に禁止制限告知が発表され、MTGアリーナでも昨夜のアップデートでその内容が反映されました。
今回は新たに発表された禁止告知の内容とともに、そもそも何で禁止改定が行われるのかという点についても書いてみました。
そもそもMTGの禁止改定ってどういうもの?
MTGでは時折、禁止改定という形でカードの一部を禁止カードに指定して使えなくしたり、ごく稀にはルールの一部を変更する場合があります。
まずは、そもそもMTGの禁止改定がどういったものなのかを確認してみましょう。
禁止改定は全てのプレイヤーにMTGを楽しくプレイしてもらうために行われるもので、禁止の理由自体はその時々で違いますが、主には「多様性」と「健全性」を重視しています。
砕いて言えば、あるカードの使い勝手が良すぎて他のカードを使う選択肢を潰してしまっていたり、あるカードが強すぎてしまっているケースですね。
ある1つのデッキだけが強すぎてしまうと他のデッキを使う意味はなくなってしまいますし、みんなが同じカードを使っていればどのゲームも同じような展開になってしまってゲームとして面白くない!ということです。
確かに毎回同じようなデッキと当たって同じような展開になるなら、MTGの面白さは損なわれてしまいますね。
過去の禁止改定
MTGの禁止改定について知ったところで、これまでの禁止改定を見返してみましょう。
今のスタンダードでは既に《王冠泥棒、オーコ》、《夏の帳》、《むかしむかし》、《死者の原野》の4枚が禁止カードに指定されています。
《王冠泥棒、オーコ》は強すぎるうえに、+1能力でどんなクリーチャーやアーティファクトも3/3のバニラにしてしまい、クリーチャーやアーティファクトを使うデッキを環境から駆逐してしまうということで禁止。
《むかしむかし》は序盤の動きを過剰に安定させてしまう=毎回同じ動きをさせてしまうため禁止。
《夏の帳》は他の色対策カードに比べて明らかに強く、当時環境に緑を含むデッキを蔓延させていた理由の1つにもなっていたため禁止。
ちなみに当時、《王冠泥棒、オーコ》、《むかしむかし》、《夏の帳》の3枚すべてを搭載した食物デッキの1強っぷりはすさまじく、2019ミシックチャンピオンシップでは全デッキのうち70%を占めるほどでした。
この3枚は2019年11月に同時に禁止されました。
この禁止については「さすがに当たり前でしょ…」といった反応が多かった印象です。
(個人の感想です)
《死者の原野》は2019年10月に禁止されました。
毎回、除去を打ちつつ土地伸ばしてゾンビ出して勝ちという同じ展開になる上、ゾンビを生成するのが土地であり、除去などによる対処も難しいということで禁止となりました。
また、決着までに非常に時間がかかる点も問題視されました。
その他の禁止理由
「多様性」と「健全性」を損なっている場合以外にも、効果の処理に時間がかかりすぎてゲームの進行に支障をきたす場合や、そのカードを相手にした時に非常に不快になるような場合にも禁止に至ることがあります。
禁止に至る理由は他にもいくつかありますが、禁止を行う目的はあくまでも「全てのプレイヤーがMTGを楽しくプレイできるようにすること」です。
今回の禁止制限告知の内容
さて、今回の禁止制限告知ですが、今回は《裏切りの工作員》と《創案の火》の2枚が禁止カードに指定されました。
また、『イコリア:巨獣の棲処』で新たに登場したメカニズム「相棒」についても、ルールの変更が発表されました。
それでは1つずつ内容を見ていきましょう。
《裏切りの工作員》
1枚目は《裏切りの工作員》。
これまでのメタゲームでは、トップメタであるジェスカイルーカを始め、ティムールエレメンタル、ウィノータ系デッキなど様々なデッキに採用されていました。
本来7マナのカードではありますが、《銅纏いののけ者、ルーカ》や《軍団のまとめ役、ウィノータ》により、コストを踏み倒してゲーム序盤に場に出てしまうことも珍しくありません。
今回の禁止改定の発表でも語られていましたが、ゲームの早い段階で《裏切りの工作員》が序盤に出てしまうと、相手にしていて非常に不快かつ逆転が困難であるということでした。
実際、今のスタンダードをプレイしている方の中にも、序盤に場に出された瞬間に投了したことがあるという方は多いでしょう。。。
また、どんなパーマネントも奪うことができるため、重いパーマネントを展開するデッキや特定のキーカードを軸にしたデッキを環境から締め出し、デッキの多様性を損なうということで禁止となりました。
《創案の火》
2枚目は《創案の火》。
《創案の火》の禁止理由としては2点。
1つは《創案の火》を用いたファイアーズ系デッキが他デッキに対して互角以上の勝率を持ち、メタゲーム上のシェア率でも支配的であること。
2点目は、《創案の火》自体の性質として、新セットで重く強力な呪文が収録されるたびに強化されてしまい、今後のカードデザインに制限をかけてしまうリスクがあること。
正直2点目に関しては「いやいや強化されるも何もそういうカードでしょ」とは思いましたが、こちらの記事を見て少し考えが変わりました。
令和にmtgがおかしくなったのは「ちゃんとテストプレイしてるから」説
今回の禁止改定の内容に納得がいかない方は、読んでみると面白いかもしれません。
相棒の弱体化(ルール変更)
今回の禁止改定では、新たな禁止カードとともに、相棒ルールの変更も発表されました。
新しい相棒ルールは以下の通りです。
各ゲーム中に1度だけ、あなたはソーサリーを唱えられるとき(あなたのメイン・フェイズの間でスタックが空であるとき) に{3}を支払うことでサイドボードからあなたの相棒をあなたの手札に加えることができる。これは特別な処理であり、起動型能力ではない。
これまでは、相棒に指定されたカードをゲーム外(サイドボード)から直接唱えることができましたが、新ルールでは「ソーサリータイミングで3マナを払うことで手札に加える」という処理を挟む必要があります。
相棒ルールの変更理由としては「メタゲーム上のシェア率」と「再現性」の2点。
「メタゲーム上のシェア率」についてはジェスカイルーカだけでも相当なシェアを占めているうえ、アゾリウスコントロール、ティムールエレメンタル、オボシュレッド、ラクドスサクリファイスなどメタゲーム上のデッキの多くが相棒を採用していました。
相棒を使うことで実質的に手札が1枚多くなり、しかもそれが強力なカードであることが確定しているというアドバンテージは相棒以外のデッキを使う選択肢を減らすには十分だったことはメタゲームが証明しています。
相棒を使用していないTierデッキとしてはティムール荒野の再生、ティムールアドベンチャー、ジャンドサクリファイスくらいでしょうか。
「再現性」については記事内で「反復的なゲーム」と表現されていますが、要は冒頭で触れた「同じようなゲーム展開になってしまう」ということですね。
本来手札はランダムなもので、手札からプレイされる呪文もまたランダム性を持つため、ゲーム展開は毎回ある程度違うはずなのですが、相棒は1枚積みにも関わらず常に必ずプレイできるため、同じようなゲーム展開になりがちということですね。
ゲーム上のシェア、反復的なゲーム(再現性)への影響を抑えるために、今回の変更では「3マナを払って手札に加える」という処理を追加することになりました。
追加でマナを払わなければならないことによって、相棒は手札の呪文よりもプレイしにくくなります。
そうするとプレイヤーは相棒よりも手札の呪文を優先して唱えるようになりますが、手札とはランダム性があるものなので、結果としてゲームの展開が同じようになりにくくなる。
また、実質的なマナコストが重くなることで相棒の登場が遅れるため、この間に対戦相手も相棒への対処を準備でき、相棒のアドバンテージを相対的に小さくする。
という展望のようです。
既存デッキへの影響
《裏切りの工作員》と《創案の火》の禁止、相棒ルールの変更によって、既存のデッキにはどのような影響が出るでしょうか。
消滅するデッキ、影響を受けるデッキ、影響のないデッキの3つに分けて見ていきましょう。
消滅するデッキ
まずは、トップメタであるジェスカイルーカですが、直接的にデッキの根幹のカードを2つ失ってしまうことで完全に消滅します。
その他、「ファイアーズ」と呼ばれる《創案の火》を使ったデッキたちは全て消滅します。
環境初期に結果を出していたジェスカイケルーガファイアーズや、Red Bull Untappedランクマで時折見かけたグルールファイアーズも消滅となります。
影響を受けるデッキ
実質的な消滅というレベルで影響を受けるのは、オボシュレッドです。
4~5ターン目に《獲物貫き、オボシュ》を出すことで一気にバーストダメージを出してゲームを決めるという動きが強みでしたが、序盤からマナを使いきりつつ攻勢をかけるオボシュレッドでは、追加で払う3マナが致命的な遅れとなってしまいます。
今後は前環境で見たような《エンバレスの宝剣》入りの赤単アグロに戻るかもしれません。
同じくアグロで、相棒の《夢の巣のルールス》による粘り強さが魅力だったルールスオーラも弱体化しそうです。
《成長の季節》である程度土地が伸びれば《夢の巣のルールス》を手札に加えるための3マナをまかなえそうですが、《夢の巣のルールス》の安心感は少なくなるでしょう。
また、近頃アンチジェスカイルーカデッキとして結果を出していたアゾリウスコントロールも少なからず影響を受けそうです。
僕自身もランクマで使用していましたが、コントロールやミッドレンジ相手はともかく、アグロ相手では5ターン目に《空を放浪するもの、ヨーリオン》を出して時間を稼いで勝てていたゲームも多く、それができなくなるとなると流石に勝率は落ちそうです。
フタを開けて見なけば分かりませんが、得意としていたジェスカイルーカが環境からいなくなってしまった上に、今回の禁止改定後に数を増やしそうなジャンドサクリファイスが苦手なので、今後の立ち位置的にも厳しいと予想しています。
特に禁止やルール変更の影響がないデッキ
今回の禁止改定と相棒ルールの変更を全く受けないデッキもあります。
筆頭はティムール荒野の再生とジャンドサクリファイスです。
これらのデッキは今回禁止された《裏切りの工作員》も《創案の火》の2枚も相棒も採用していないため、デッキに一切影響がありません。
また、トップメタではありませんが、たびたびイベントで結果を出しているティムールアドベンチャーも同じくデッキに一切影響がありません。
デッキへの影響がない分、これら3つは相棒を採用しているデッキと比べて、相対的に強化されることになりますが、今後結果を出すかどうかはメタゲーム次第になるでしょう。
余談:「反復的なゲーム」について
今回何度か「反復的なゲーム」というキーワードが出ていましたが、これについては2019年7月から採用された「ロンドンマリガン」の影響も大いにあると思います。
「ロンドンマリガン」が採用されるまでは「バンクーバーマリガン」が採用されていました。
「バンクーバーマリガン」は1997年に採用されたマリガンルールで、「あなたがN回目のマリガンを行うとき、あなたはカードをN-1枚引き、その後占術1を行う」というものでした。
(ちなみにそれ以前はただマリガン回数分、初期手札が少なくなるのみでした。)
「バンクーバーマリガン」に代わって採用された「ロンドンマリガン」は、「あなたがN回目のマリガンを行うとき、あなたはカードを7枚引き、その後N枚のカードをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く」というものです。
「ロンドンマリガン」の採用により、常に7枚の中からカードを選べるようになり、マリガンがまた一つ強化されました。
このマリガンルールの変更は、マリガンによる不利を軽減し、いわゆる「ゲームにならない」展開をなくし、プレイヤーがゲームをより楽しめるようにするために行われたものでした。
それは無事達成できたと思いますが、マリガンルールの発表時のプロプレイヤーたちが懸念していた通り、序盤の動きが安定しすぎてしまうという懸念は当たってしまったようにも思います。
ソース:ロンドン・マリガン
ということで今回は禁止改定とその内容についてでした。
今後のメタゲームがどのように動いていくのか楽しみですね!
では!
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